エドミヤ

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『まだ見ぬ光景』

目の前には自分の体がありました。自分の体を上から見下ろしていました。横たわる自分の周りには、両親と友達がいて、それはもう可哀想なほど泣いていました。

そこで気づきました、自分は死んだのだと。みんな泣いていました。とても悲しそうにしていました。

嬉しいと思いました。自分はこれほどに愛されていたのだと。みんなと一緒に過ごせないことは心残りですが、それ以上に、みんなの悲しむ様子が嬉しかったのです。

私は涙で前が見えなくて目を閉じました。次に目を開けると、ガランとした病室でした。周りにいた親も友達も居ません。隣の部屋から微かに何人もすすり泣く声が聞こえ、さっきの光景は隣室での出来事だったのだと分かりました。

私は頬を流れる水滴を感じつつ、未だ誰も訪れない病室の中、あの光景への僅かな期待を捨て切れませんでした。

1/14/2025, 9:55:44 AM