留歌 RUKA

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仕事で忙しく、掃除ができていなかった部屋を片そうとミラさんは張り切っていた
布団を干し、いらないものを捨てた
「後は…」
ミラさんは一気に気が覚めた、数週間数ヶ月どころでは止まらない
ずっと前から細々したものを詰め込んだ魔境と言わんばかりの
杉のタンス
ぱっと見は、宝石をかたどったような取っ手に白い塗装の
感じのよいタンスなのだが、近づけば
誰しも眉をひそめるような散らかりようで
飲みかけのペットボトルやお菓子のゴミを放置したようで
匂いも恐ろしい
「やるしかないかしら」
覚悟を決めたミラさんはタンスを部屋の真ん中に
持ってこようと持ち上げると
奴と目があった
一匹ではない、三匹いたのだ、
黒い羽にピンと伸びた触覚
そう、Gがいたのだ、
ミラさんは掃除は定期的にやろうと誓った

12/7/2023, 12:41:35 PM