『1つだけ』
約束してと言われたので「一生の?」と返したら睨まれた。
「そんな重たいもの背負いたくない」
「背負わせたくない、じゃないあたり素直でよろしい」
それで、肝心の約束について尋ねると難しいことじゃないときた。
そういうときは大抵難しいことなんじゃないかと言いたいのは、黙る。
「花を飾ってほしいかなって」
「どんな」
「なんでもいいけど、枯れるのは嫌だから造花で十分。なんなら百円ショップのでもゆるす」
そこまで安く済ませるのは流石にどうなのか。
「それをする理由は?」
「なにもないのは味気なさすぎるでしょ。次の人が来るまででいいよ」
そんなことを、数日前に亡くしたルームメイトの陰が笑いながら言った。
こっちは全然笑えないよ、そう返したい気分だった。
4/3/2024, 1:51:23 PM