お題 ☞ 微熱
今朝、起きたら体に異変を感じた。熱を計ってみると、36.9度。微熱だった。
私にしては少し危ない温度、と思われたんだろう。何よりテスト前だったこともあり、本番には完全な状態で臨んで欲しいという母の勧めで、学校を休むことになった。
横になって静かにしていると、近くの小学校に向かうおチビたちの声が聞こえる。時刻は8時10分。遅刻するんじゃ…
お節介なことを考え、壁にかけられた時計を眺める。
1……2……3……4……5……6………7……………
そして、時は止まった。
さあおチビたち、今のうちに急げ!
実は私は、時間を操れる超能力者だ。
…という訳ではなく、実際は『時計』を操れる。
全世界(…なのか?今のところ確認できたのは、部屋の壁掛け時計・テレビ・スマホ・私の腕時計・学校の時計)の時計が動く速度を変更できる、っぽい。もちろん、人間や動物たちは好き勝手動いているし、雨粒だって私たち目掛けて落ちてくる。あくまで時計の針だけだ。
ぶっちゃけ、この能力に気付いたときは大したことないものだと思っていた。強いて言うなら一発芸にでもなるんじゃないかくらいの話だ。
でも私は気付いてしまった。
合計1、2時間程度なら、止めたり早めたりしたって誰も気が付かない。
空の色なんかも大して気にならないらしい、『最近日が落ちるの早いね』なんて呑気に言っている。
お陰様で私は、嫌いな授業を3/5くらいの長さに縮めたり、バスケの試合をちょっと延長させて貰ったりと、好き勝手にやっている。
…ここまで来たらもう、時間を操っていると言ってもいいんじゃないだろうか。
おチビたちの大騒ぎしている声が聞こえなくなると、私はまた時計を動かし始めた。
そういえば、確か今日の5時間目は、私の大好きな体育だったはず。
ちょいと時間を貰って、さっさと熱なんて冷ましてしまおう。お昼休みに学校に着くとして約4時間、余裕を持ちたいし、そこにプラス30分くらいでいいかな?そういえば英語の宿題がまだ終わってない、駄目だ、もう30分!
これくらいあれば二度寝も出来そうだ。うーん、もうちょっとだけ止めちゃおうかな…
11/27/2023, 8:29:37 AM