NoName

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テンプレートが量産され、僅かな隙間もなく敷き詰められた商品棚。
色違いだけで個性を表わす集団の中から、その日の私は思わぬ出会いを果たす。

どの角度にも光沢感など持たないシルエット。
なのにそれは、私の視線を鷲掴むような力で、確かに「キラリ」と光って見えていたのだ。

万能を切り捨て、ただ限られた機能だけを売りにする潔さ。
それ故か、日に日に好感は増し、自然と使い込む程に愛着も湧いた。

今も長年愛用する、お気に入りの逸品である。

【1つだけ】

4/3/2024, 1:55:26 PM