何をしたって何も感じない。笑うことも怒ることもない。
そんな人生だった。
両親は大層心配していたが、僕は何も感じない。感じる必要もない。
ただ過ぎる時を眺めているだけの人生だった。
君に出逢うまでは。
君の笑顔で、無色だった僕の世界に初めて色が付いた。
君が一つ一つ何かをする度に、世界が彩られ、輝いていく。今や、僕の世界は色に溢れている。あまりの鮮やかさに、瞳に溢れ返った色が、涙となって零れてしまいそうだ。
世界は美しかった。そして、君の笑顔も。
この美しい世界を大切にしたい。
『無色の世界』
4/18/2024, 8:06:46 PM