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全てが闇に包まれている様な暗い夜、私は1人の死神と対峙していた。髑髏の仮面と黒い襤褸そして大きな鎌を持った死神は血に染まっていた。先に誰か1人を殺したらしい。今思えば無気力な人生だった。大した夢もなく未来もなく趣味さえ見つからなかった人生。今死んでもいいかもな。そう思いさえした。でもいつまで経っても死神の刃は私の首にふれることはなかった。
白い手袋に覆われた指先でクイックイッと指を曲げて挑発してきた。抵抗するつもりはなかったが、まあせっかくだし足掻いてみようかと死神に投げ捨てられたナイフを手に取り戦った。死神はわたしの首を最初に狙ってきたので屈んで避け体のバネを使って死神の喉笛を掻き切った。あっさり倒せるもんだなと思った。すると仮面から血が溢れて割れた。
仮面の中にいたのは昔馴染みの少女だった。彼女は仮面が割れたのに驚いた後、フッと笑って何かを呟いた。確かその昔馴染みは後数ヶ月で死んでしまう様な風前の灯火にあった。もしかしたら彼女は余命幾許もない命で私の命を繋ぎ止めてくれたのかも知れない。私はもう少しこの世界で頑張って生きてみようかと思った。そして最後の彼女の言葉はいったいなんだったんだろう。
「それでいい」お題
この物語はフィクションです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。

4/5/2024, 6:45:42 AM