2024 6/20(木)
ボロボロの革靴、会社終わり、騒がしい雑踏に、俺は身を隠すように融け込んで歩いた。
信号の待ち時間。
すれ違いざまに肩が触れたサラリーマンから、舌打ちを喰らう。
そいつを目線で追うと、背中は随分と落ち込んでいるようにみえた。
あいつも、人に当たらないと気が済まないくらいの嫌な出来事が合ったんだろうか。
そう、
世界は醜い。
思うようには進まない。
もうやめてしまいたい。
負の思考は止まらないけれど、
そんな戯言を頭の中で喚き散らしたところで何かが変わるわけでもなかった俺は、口を閉じて大人しく街灯を頼りに歩いた。
それでも、今日を生きたのは。
「おかえりなさい。待ってたのよ」
「ただいま」
明日を生きるのは。
あなたが今日も、
変わらないとびきりの笑顔でリビングに居たから。
#31 あなたがいたから
6/20/2024, 2:50:11 PM