▶38.「ありがとう、ごめんね」
37.「部屋の片隅で」36.「逆さま」
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1.「永遠に」近い時を生きる人形✕✕✕
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東の辺境に入った人形は今までの土地との違いに気づいた。
ただ他の地域よりも少し、
風が強く吹くだけ
雨が少ないだけ
土が痩せているだけ
昔の戦いが激しかっただけ
(それが人間にとっては、こんなにも大きな違いとなるのか)
木を隠すなら森と言われるように、この国の平均的な相貌で作られている人形でも人の多い地域にいることが多かった。
荷物、特に食物による旅程制限がない人形は、ほとぼり冷めるまで隠れているのも簡単で、のんびりと旅を続けていた。
だから、余所者が分かりやすいような、人の少ない地域に赴くことは殆ど無かったのだ。
「ありがとう、ごめんね」
幼い子どもが水汲みをしていた。量からしてかなり重たい。
手伝おうかと申し出たところ、
「あなた、余所から来たんでしょ?優しそうだもん。」
このように断られた。
幼い子どもでも自分たちが排他的な態度を取っていると知っている。
そうさせるだけの理由がある土地なのだ。
12/9/2024, 6:05:06 AM