【もしも世界が終わるなら】
深海の底から、誰も知らぬ鼓動が響く。
夜空に散った星々さえ、その音に怯えて瞬きをやめた。
空を覆う影は言葉では形容できぬものだった。
見た瞬間、理性は砕け、ただ名もなき恐怖だけが残った。
地平線の向こうで蠢くものを、人々は「災厄」と呼んだ。
けれど本当の名を知った瞬間、世界は沈黙した。
空も海も大地も境を失い、時間は無限の輪のように絡まり始める。
これは僕の夢なのか、それとも異形の見る夢なのか。
どちらにせよ、もう世界は終わる。
9/18/2025, 3:25:40 PM