ミントチョコ

Open App

題 誰にも言えない秘密

私には秘密がある。
でも、絶対にだれにも言わない。

だって絶対に困ったことになる。
だから、黙ってる。

「ナツミ」

名前を呼ばれて振り返る。

「リンカ」

ニコッと笑う友達のリンカ。
小テストを手にしてる。

「ねぇ、英語のテストどうだった?」

「あ〜、一応昨日勉強したし、満点だったけど」

私が答えると、リンカが手を叩いて目を輝かせる。

「さすがだね!ナツミ。親友として誇らしいよ」

(はぁ?なんでいつもナツミばっかりいつも満点なのよ、私だって一問間違えなだけなのにっ、悔しいっ)

リンカのセリフと共に心の声が聞こえてくる。

そうなんだ。私の誰にも言えない秘密は心の声が聞こえることだ。

小さい頃お母さんに心の声が聞こえることを言ったら絶対に人にその事を伝えたらダメだと言われた。
怖がられるからって。
人は、未知のものに恐怖を抱くし、自分の心を読まれるのを恐れるからって。

だから、私は心の声を聞こえないふりをしてる。

・・・でも聞こえてるんだ。
だからこそ、傷つくことが多い。

だって、みんな、心と表面の声が違うから。
だから、私は完全に人を信用していない。

心の声が聞こえてくるのは仕方ないから、それでも笑顔で対応するしかない。
聞こえないふりをするしかないから。

「そんなことないよ、リンカもいつもいい点取ってるじゃない」

私が笑顔で言うと、リンカも私に笑顔で返す。

「そんなことないって〜!ナツミには叶わないよ、自慢の親友だなっ」

(何嫌味言ってくれてるの?うっとおしい。どうせ見下してるくせに)

私はふぅとため息をついた。リンカといると疲れる。

「あ、サヤカ、何点だった〜?テスト」

リンカは新たな獲物を見つけて行ってしまった。
私は内心ホッとした。

「大変だったね」

その声にホッとして振り返る。
そこには友達のタカコが立ってた。

落ち着いてて、口数少ないけど、私はタカコが好きだ。
だって・・・。

「あれって自慢したかっただけたもんね」

(いつも大変だな、ナツミ。それでも笑顔で対応してて偉いな)

タカコの心の声はいつも穏やかで、私を肯定してくれる。

「あはは、そうなのかな?」

いつもありがとうと思うけど、心の声には応えられないから、私はタカコのセリフに答える。

「そうだよ、ナツミは頑張ったんだから、満点取ったのは当然の結果だよ」

心の声も同じことを言っている。

「ありがとう」

私は心からのありがとうをタカコに伝える。

秘密だから。絶対に。

でも・・・でも、許されるなら、いつか、もっとタカコに心を開けたら・・・私はタカコにだけは私の秘密を打ち明けたいって思っているんだ。

いつも私の気分を穏やかに、救ってくれるタカコにだけは。

6/5/2024, 11:36:05 AM