_相合傘_
下校時刻、突然降り出した土砂降りの雨に私は呆然と突っ立っていた。
朝、お母さんから「今日、小雨だけど雨降るらしいよ〜、傘持っていけば?」って言われたけど、自転車通学だったし、小雨程度なら大丈夫だろうと、「ん〜、大丈夫。」で、流してしまった。折り畳み傘くらい持ってこればよかった。
雨宿りしようと雨が止むまで外をボーっと見ていると、ふと後ろから声が聞こえた。
「なにやってんの、ユキ。」
「んぇっあ、フユくんか。」
幼馴染のフユが私に声を掛けてきた。名前が"雪"と"冬"で、
初めて会った頃に似てるねって笑い合った時から徐々に仲良くなっていき、今じゃ親友と言ってもいい仲だった。
「いやぁ〜傘忘れちゃってね。」
「はぁ?天気予報観なかったのかよ。」
「えへへー…。」
フユくんは、呆れたように私を見ては、思いついたように言った。
「ったく、俺の傘入るか?」
「えっ、い、いいんですカ。…いやでもなんか悪いよ…。」
「なんだよ、まぁ嫌なら仕方ないな。じゃっ」
そう言って帰るそぶりをしたフユくんを私は全力で引き止めた。
「ま、まってまって、分かりました入れさせてください。」
「ふふーん、いいだろう。」
うぐ、うざいな。
「…はい、濡れたらごめん。」
「えっや、私が入れてもらってるんだから私が濡れなきゃいけないんだよ?」
「は、なに言ってんだよw」
最近、一緒にいる時間が少なくなったからちょっぴり照れくさいなぁ…。
「…最近一緒にいる数が減ったよな。だから、今話せてちょっと嬉しいかも。」
「えっ、私と同じ事考えてて笑うんだけど。」
「まじかw…なぁ、明日お前のクラス行くわ。」
「ん?まぁいいけど、私に会うためだけに?w」
「いや、そうだけど。」
「へ、あ、わかっ、りました…。」
なんか即答なのも、ちょっと照れるんだけどっ。
その後彼の傘で相合傘をしながら私の家まで送ってくれた。
…改めて優しい彼だなと思った。
6/20/2024, 10:44:29 AM