奇跡をもう一度
目を覚ますと。
そこは、見覚えのある部屋。
重々しい石の壁に囲まれ、
小さい明かり取りの窓には、
冷たい鉄格子。
ここは…。
嘗て私が囚われていた場所。
悪夢の残骸。
私は、たった独り。
手も足も、鉄の鎖に繋がれ、
私の生殺与奪の権は、
見知らぬ誰かのもの。
助けて下さい、と、
ありったけの声を張り上げ、
身を捩ります。
しかし、他の人の気配は無く、
私の声が虚しく響くだけ。
嘗て囚われていた、
この部屋から抜け出し、
貴方に拾われた、あの日の様に。
奇跡が起こりはしないかと、
強く願い、叫びます。
奇跡をもう一度。
もう一度。
私を助けて下さい。
私を見つけて下さい。
私を抱きしめて下さい。
そして。
…私を愛して下さい。
10/2/2024, 5:46:07 PM