「あの…あたしと今度遊びに行きませんか」
おれとアイツが並んで帰るその先に、目の前に現れた同じ学校と思われる彼女は突然そう口にした。
何事かと反応せずにいると彼女はその沈黙に耐えきれないように続けて友だちの名前を出してさらに誘ってきた。
「あれだったらその子と合わせて4人で遊びに行きませんか」
隣りのアイツにも同意を促すように彼女は見上げた。
おれもゆっくりと隣りを見つめる。
その目はその口角は嬉しそうな形を作り
「いいねいいね!!遊びに行こ!!」
なんておれを無視して約束を勝手に取り付けた。
彼女が出した名前を聞いた時から嫌な予感はしてた。
「じゃ!明日の放課後に、4人で」
考え事をしてたらいつの間にか予定が決まってて彼女は嬉しそうに去っていった。
アイツはそれを最後まで見送ってその姿が見えなくなるとくるりと満面の笑みでおれの方を振り向いた。
「やった!やったな!!これってあれだよな!!彼女とダブルデートって事だよな!!」
「でもあれってさっきの子おれの事好きだよたぶん」
「うん?それって俺と彼女、お前とあの子。どっちも付き合えてラッキーってやつじゃない?」
無邪気にそう言われて何も言えなくなった。
おれの気持ちは…?
「おれはあの子のこと好きじゃないよ」
ポツリと呟いたその声は届いていないようだった。
あの子が名前を出した彼女はアイツが気になっている子だった。
見つめる先のアイツは浮かれているようでひとりでずっと楽しそうにおれに話し掛けていたようだけどどれもおれの身体をすり抜けて消えていった。
なんでだろなぁ。
なんでだろねぇ。
分かってたつもりなのに。
それでいいと割り切ったはずなのに。
なかなかしんどいよ。
なぁ…なんでだろな。
おれだってお前の事好きなのに。
浮かれるその背中に向かってそっと視線で投げ掛けた。
(愛を叫ぶ。)
5/12/2026, 9:58:58 AM