霜月 朔(創作)

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誰も知らない秘密



心の隙間に沈む影。
名前も呼べない、
愛しい君の声。

触れられない、
距離に佇みながら、
ただ、心だけを、
焦がしているんだ。

灯りが揺らす面影に、
何度も嘘を重ねた。
「忘れた」と、
「もう平気だ」と。
――それでも。
胸は疼きは消えないんだ。

君が笑う、その隣で、
選ばれた誰かがいる。
俺の存在は霧のように、
君の記憶の彼方に、
消えていくんだ。

叫ぶことすら、
許されなくて。
この痛みは、誰も知らない。
夜が深まるたびに、
募っていくのは、
報われぬまま、朽ちる想い。

せめて夢の中で、
君の指先に触れられたなら。
けれど、この想いは、
朝が来る前に、
そっと、闇へ埋めよう。

君への想いは、
誰も知らない秘密だから。


2/8/2025, 7:16:32 AM