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 繁忙期の残業続きで疲れ切った体に鞭を打つ。ちょうどいい温度で湯を張って、ゆっくりと浸かる。
 胸まで浸かると、お湯の温かさに包まれてほうっとため息が出た。クーラーで冷え切った体が芯から温まる感覚がする。あまりの心地良さにウトウト眠気を誘われながら、浴槽の縁に頭を預けた。
 明日は休みで誰とも会う予定がないから、お風呂に入っても入らなくてもいい。汚れた自分に接するのは私だけだから。
 でも歳を重ねるごとに睡眠の質が関わってくるのだと気がついた。夜ぐっすり眠るには、体を温めたほうがいい。それからは休みかどうか関係なく、湯船にまで浸かっている。

「あーーー、明日どうしよう」

 一人暮らしを始めてから、明らかに独り言が増えた。なるべく外で声に出さないよう堪えているが、家だと人目がないから我慢せず口にしていた。今のところ近隣から苦情が来ていないため、多分ポツポツ喋る分には平気だろう。
 手を動かして、肩の方までお湯をかける。足元では急騰の吸い込み口がゴウっと鳴った。

「明日晴れるんだよね確か」

 電車の中にある液晶画面で見た天気予報を頭に思い浮かべる。酷暑と呼ばれる最高気温でカンカン照りらしい。

「あーーー、じゃあシーツ干すか」

 ついでに布団も。あとデニム類も洗おう。
 ゲリラ豪雨が例年より多い今年は、油断して外に干したまま出かけると雨に降られる可能性が高い。明日は一日家から出ないと決めたから、万が一ゲリラ豪雨がきても取り込める。
 だから明日は洗濯日和にしよう。
 こめかみからじんわりと汗が垂れてきた。結構浸かっただろうか。急騰のモニターを見るとたった十分しか経ってない。冬だと二十分でも三十分でも浸かっていられるのに。やはり夏は暑いし堪えられない。
 私はそそくさと湯船から出てシャワーを取った。お湯を抜いて掃除をしたら私のお風呂ルーティンは完成である。ささっとぬるま湯で流しつつ、今日は早く寝ようと決めた。


 実際起きたら日が若干傾きかけてたんですけどね。


『明日、もし晴れたら』

8/2/2024, 9:30:46 AM