♯未来図
これまでの人生を振り返ると、黒く塗り潰され、破り捨てられた未来図の残骸ばかり散らばっている。
十枚、二十枚、三十枚――そこに今日、新しく一枚加わった。
定年まで勤めあげるはずの会社から、人件費の削減を理由に退職を勧告された。転職も望めないような、こんな年齢になって。
――また一から描かなきゃいけないのか。
どうせ描いたところで、また――。
だらりと天井を見上げる。
両親が亡くなり妻と子も去った、からっぽの家。
死んだような静寂の中で、俺はぶら下がってもビクともしないような太い鴨居をじっと見つめていた。
4/15/2025, 12:23:11 AM