ヨリと私は、明日で20歳になる。
ヨリは外生まれだから、もうは皮膚も弛んでいて、痛む左膝を庇うために左足を引きずるような歩き方をする。外から来た人間は、入村した時に一度赤ん坊に戻るのだ。外の汚れを落とし、一から人生を始めるために。だから、ヨリはおばあちゃんのような見た目をして居ても、私と同い年で、友達だ。
私は中で生まれたから、村の成人式で本当に20歳。ヨリと違って白くすべすべとした肌と、誰よりも早く走れる脚がある。村長様も、私の細く伸びた手足をいつも褒めてくださる。
「かみさまにぴったりだね」
私は、明日の成人式が楽しみで仕方ない。私たちの村で成人式は成神儀という。外では数え年で20歳になるお祝いのことを言うらしい。私たちの成神儀は、この村で祀る神様が亡くなったあと、村人の中で20歳になる女が出る年に行われる。この儀式に巫女として選ばれた20歳の女は、次の神様になる。
きっと、私は神様になる。ヨリはやさしくていつも笑顔で、私のことをいつも心配してくれる良い人だ。でも、神様は若い女の方が良い。シミの浮いた枯れ木のような手足より、竹のように伸びた白い手足の方が良い。皺皺の顔より、水を弾く肌を持った美し顔が良い。
私は、明日、神様になる。ヨリの代わりに、私が神様になる。神様になる。
1/10/2023, 12:53:06 PM