この話は、人類が「意識保存装置」によって、死後も存在できるようになったときの話。
俺はある夜、自分の端末に見知らぬ通知を受け取った
《ようやく気づいた? 私はまだここにいる》
それは数年前に亡くした恋人の名前で届いていたものだ
恐怖とほんの少しの懐かしさに駆られ、彼女の保存データを探した。
だがそれは、確かに消去済みたった。
この世にない、彼女の声が届くはずがない。
画面の向こうの「彼女」は、昔と同じ声で笑った。
そして次第におかしなことを言い出す。
「あなたの時間を半分ちょうだい。永遠なんてないけど、二人でなら分け合えるでしょ?」
それ以降俺の周囲では、不可解な現象が起こり始めた
電灯が切れる、鏡に二人分の影が映るなんてことは茶飯事。
夢の中で彼女が隣に寝ているなんてこともあった。
恐怖の連続の毎日に、おかしくなりそうだった。
最後に俺が見たのは、
保存装置の中で“融合”しようと蠢く、俺と彼女の意識データ。
「永遠なんてないけれど、二人なら永遠になれる」
俺は悲鳴をあげた。
それが夢だったのか、現実に起きたのかは保存データーだけが知ることになるだろう。
9/28/2025, 11:03:23 AM