まにこ

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熱で逆上せた頭ではもうどれだけの時間が経ったのかも分からない。
煎餅布団の上に押し付けられる己の背中がひたすらに悲鳴をあげる。
否、背中だけではない、もう全身が既に疲弊している。
折り曲げられた腰、肌と肌とがぶつかり合って擦れあって、突き上げられて。
時折変わる体勢も、下半身の繋がりは決して外してなどもらえない。
意識を飛ばして闇の微睡みに沈み込みたくても、都度頬を優しく叩かれて無理矢理に覚醒させられる。
どうしてこんな事になったのだろう。
たらりと垂れる鼻血は柔い舌で舐め取られてしまった。
「甘いのう」
半月に細められる目がこちらを確りと見下ろす。
「も……や、め」
嗄れた声で制止を乞う。
「終わらぬよ」
「え……」
男の口角は変わらず上がったままだが、赤い眼は真っ直ぐにこちらを射抜く。
「お主はワシのものじゃ、永久(とこしえ)にな」
その後すぐに一層激しく揺さぶられてしまい、言葉の真意を問うことは叶わなかった。
嗚呼何が男の逆鱗に触れたのか、言葉通り二度と離してもらえなかった哀れな一人の人間の物語。

1/26/2025, 4:43:59 AM