『未来への鍵』
これは未来への鍵。
そう自分に言い聞かせて、今日も鍵穴に差し込む。
しかし解錠される音はなく、扉も開かれることはない。
何度も何度も繰り返してきた。
いつか、懐かしいあの風景へ辿り着けると。
この鍵穴はなんのためにあるのだろう。
外側からしか開かない扉。
私が外へ出るには、徒労だと思っても鍵を差し込むことしかできない。
気がついたら、この部屋の中にいた。
いつの間に閉じ込められたのかもわからない。
傍らには、真鍮でできた小さな鍵がひとつ。
これは、未来への鍵。
これは、未来への鍵。
これは――
1/11/2025, 9:59:58 AM