ちゃぽん 浴槽の中にあかく、紅いそれがまるで金魚のように水の中を泳いで、その金魚は泳ぎきらないうちに水に溶けてしまった。鮮やかに濃くそれは水に馴染んで一種の芸術であると錯覚してしまいそうだった。一滴、一滴と腕を伝っては垂れ金魚が水面を泳いでゆく。これが私であると、傷口はまるで心臓のようにどくんどくんと音を立てる。私の長い髪が水面を這う。そして私は金魚と一体化する。ああ、このままあかい、紅い金魚と共に液状化できたなら。
8/6/2024, 1:56:14 PM