愛染

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脳裏

まっくらに
しらないこ
あのこ
こっちむいてて
おくちぱくぱくして
えんえんしてるの

まっくらな所に
見たことがない子がいます
その子は
こっちを見てて
わたしに
“ころして”

って言ってます
なんでかな
いっぱいないてて
かわいそうです

暗く小さな場所に
よく見ると私に似た
小さな女の子がいます
その子は
“殺して”と言いながら
泣いています
殺せないから
困っているのに
泣きたいのは
こっちなのに

暗い夢の中で
私の弱い部分が
具現化した子が
問いかけます
“どうしてあの時
何もしなかったの”
“どうしてあの時
殺してくれなかったの”
“殺して”
“殺してよ”
“貴方のために”
泣きながら喚くその頭に
いつまでも
いつまでも
銃口を向けたまま
引き金は
ひけないまま

脳裏で
その子に
お別れを言えたのは
私の灯火が
消える時でした
私は結局
あの子を
この手で
殺せませんでした
私は負けたのです

私の弱さに乾杯を
私の怠惰に讃美歌を
どうか安らかに

11/9/2024, 12:35:17 PM