輝き目立つ太陽でもなく、その光を受けて自在に満ち欠けする月でもなく。
淡くも自身で瞬く星だからこそ、惹かれる魅力がきっとある。
いじけてへこむ僕に寄り添って、囁くようにくれた友からの優しい言葉。
まるでドラマか流行曲の歌詞のよう。
僕の長所を例えただなんて嘘みたい。
照れ臭さと、畏れ多さの謙遜で。
頑固な僕は、君の言わんとすることを、とても素直に受け止めることができなかった。
「嬉しいけれど、そんな格好良い比喩、僕なんかに似合わないよ」
「そう? 君にぴったりだと思ったのに」
「いやいや、絶対に身内の贔屓目! 買い被り過ぎだって!」
「うーん。そうかなあ」
認めない僕も頑固だけれど、友人の方もしぶとくなかなか譲らない。
熟考の末、友人は「ま。いっか」と呟き立ち上がった。
「太陽も月も居なくなったら、自ずと皆分かる日が来るはずさ」
「えー? 本当に?」
「そうそう。さあ、もう行こう」
ぽんぽんと肩を叩かれ促される。
まだまだ納得出来なかったけれど、気付けば沈んだ気持ちも幾らか晴れていた。
君の言葉はまるで不思議な魔法のよう。
むず痒くて、照れ臭くて。誤魔化すように自然と笑顔がこぼれてきた。
本当に、そうなのだろうか。
友人に手放しで褒めてもらえるような魅力が、本当にあるのだろうか。
僕からすればこうやって、太陽のように明るくしてくれる君の方が格好良いのだけど。
そんな君がくれる太鼓判、信じてみても良いのかな。
半信半疑は消えないけれど、君が予言するその日まで。
ささやかな星のまま、もう少し頑張ってみようかな。
先行く君の背を眺めながら、漸く穏やかにそう思えた。
(2025/05/15 title:078 光輝け、暗闇で)
5/15/2025, 1:26:30 PM