流れ着いたメッセージボトル

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ぐしゃり、と。

骨が砕け潰れる音が耳を劈いた。
次の瞬間、顔に飛び散ったのは生暖かく赤黒い液体。


「◾️◾️……?」


何度も目の前で彼が死んだ。
でも全部夢だった。ただの悪夢だった。

だから今、目の前に転がっているひしゃげた肢体もきっと夢に違いない。
開きっぱなしの虚ろな目がこちらを覗く。
彼はまた、俺の目の前で何も物言わぬ塊になってしまった。


これは夢なんだ。早く目覚めないと。


「そうでしょ…?…ねぇ、そうだって言ってよ……」


震える手で彼を抱きしめる。
綺麗な赤い髪は血に染まって黒くなってしまっていた。


“ギギ……ギ…”


彼を潰した化け物が、再びこちらへと腕を振り下ろしてくる。
逃げなければいけない。分かっている。
……だけど全てがもう、どうでも良かった。

ただ、これ以上彼の損傷が酷くならないようにと覆い被さる。


俺の記憶はそこで暗転した。



#夢じゃない とあるホラゲのワンシーン

8/9/2025, 2:58:40 AM