皆月いく

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短大時代の図書委員の仕事終わり、司書の先生が紅茶とビスコを出してくれる。
私はこの時間が、特別で大好きだった。
友達がいるときはくだらないことを話したり、ひとりでいるときは創作活動にふけたりしていた。
窓から入ってくる午後の光は、とても暖かくてやわらかい。作業部屋の匂いは、紅茶とコーヒーの香りが混ざりあって、とても落ち着く。
暖かいこの時間に、終わりがくるのが嫌で、一年の後期からは、講義が早く終わる日に当番を入れていた。
そうすることで、離れ難いあの時間が少しでも長く続くから。
短大時代からもう、何年か経って、ファストフード店でアルバイトをしている私は、時々、ドリンクの紅茶の香りを嗅ぐと、あの時間に戻ってきたと錯覚することがある。
紅茶とビスコと楽しい会話と創作。
今はもう、遠くなりつつある暖かい日々は、私にとって、確かにあった尊くも愛おしい青春の日々だった。

10/27/2023, 10:35:16 AM