ナギ

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冬晴れ

窓の外を見るといつも雪が降っていた。
僕の好きな青空はそこにはなかった。

「今日も雪ね」

「・・・・」

母が外を見て悲しげに言う。

「体調はどう?少しは楽になった?」

「・・・ぃや」

僕はここ最近ずっと体調を崩している。
喋るのも大変で、咳が続く。
横になっているため時々、痰がつまり息苦しくなる。
体がだるく、起き上がるのも一苦労だ。
ただの風邪だと思っていた。
思っていた、、のに。

僕は、結核という病気になっていたらしい。
見つけるのが遅く、もう長くはないという。
(まだ、、死にたくない。嫌だ。嫌だよ、、。)
涙が流れて止まらない。
(母さん、助けて)
(父さん、助けてよ)

でもそれは叶わなかった。
僕の〈生きたい〉という願いを神様は叶えてくれなかった。

母と父の泣いている声は家中に響き渡った。
窓の外は雲一つない晴天で。
太陽は僕を照らしていた。

「よかったね。ようやく晴れたよ」

『息子の顔が少し笑った気がしたのは気のせいかな』


1/5/2024, 11:36:09 AM