再生可能人間

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【京子さん………………】

今でも思い出す。
私、泡沫紫が京子だった時の話。
あの子……そう、そうだった…莉子って言ってたなぁ。
私が死ぬ直前にまた会えるって言ったらはいって答えてくれたんだっけ。
安心できた死だった。
今世でも会えるかも。
私は東京のスクランブル交差点を渡ってぼーっとしながらどこかに歩いていた。
(どこ行こうかなぁ…。ここの店オシャレなだな…)

パシャ

私は知らぬ間に写真を撮っていたようだ。
目の前のスマホに目を向ける。

“莉子のお店”

「あ……莉、子……さ……。」
前世の記憶で全てを奪われそうになった。危ない危ない。
でも莉子は気になる。私はその店に入った。

チャリンチャリン

軽やかなベルの音だ。
中を見渡すと、店員は居ないようだった。その代わり、可愛らしい小さな人形が手を振り、いらっしゃいませと挨拶しているようだ。壁には雑貨のイヤリング等がつけられており、棚やテーブルには莉子特性饅頭やドーナツ、帽子、子供と大人用の服が置かれている。見るからにお土産専門店。私は少し興味が沸いた。
「すいませぇ〜ん。」
『っあ……。あ、えっとお邪魔してます…?』
「あ、いえいえ。どうぞごゆっくり。あちらにはカフェがあるので。」
『ありがとうございます。』
私は少し気まずさを感じながら、急に現れた店員に驚きを隠せずドキドキしていた。
だが、気づかなかった。あっちにカフェがあるなんて。
………………疑問が多すぎる!なんかこの店の雰囲気掴めない。お土産店にしては人通りが少なすぎる路地だし、あっちにカフェがあるってことはかなりの大きさだ。ショッピングモールのカフェと服屋だけを切って貼っつけたみたい。
私は勇気をだして唯一の店員に質問をした。
『あの〜…ここってなんの店ですか?』
「え〜っとそうですね…難しいですが、ここはショッピングモールの端くれと言った方が簡単ですかね。」
『あの、度々質問で悪いんですが、ここは貴方しかいないんですか?』
「私のことは瑠衣でいいですよ。それと…いいえ。ここは莉子の店なのでもう1人莉子さんがいます。」
『そうなんですね。その…莉子さんという人って…』
「言っていいか分からないけど…莉子さんは前世の記憶があるみたいなんです。前世も莉子って名前で1番覚えているのは京子さんという人みたいです。京子さんがお亡くなりになる直前に莉子さんと会えると言い残していたのでこの店を開いたそうです。」
『で、ですがこの店って路地ですよね。京子さんに会いたいなら人通りが多いところがいいんじゃ……』
「そう、ですよね。私も正直不思議で…。」
『でもこんな奇妙な店なら不思議と人は来そうですがね笑』
「確かに―」
【ちょっとちょっと、瑠衣。お客が来たなら教えてよ。】
「あ、莉子さん。お疲れ様で〜す。」
『あ、お邪魔してます。泡沫紫です。』
【いらっしゃいませ。紫さん。】
『あの、失礼は重々承知ですが、京子さんのこと瑠衣さんから聞かせて頂きました。そのお話したい事が。』
「あっ……すみません 。話しちゃいました。」
【はぁ…………。紫さん、怪しい者じゃなければどうぞ。】
『ありがとうございます。では……』
―――――――――
『私、先程紫と申しましたが本名は京子なんです。』
【?それがどうかしたんですか。確かに前世の京子さんと同じ名ですが。】
『うう゛ん……。』
『莉子さん。今日の天気は良い天気ねぇ。』
【っ!?京子さん!あのころの…………。】
『ありがとうね。ここまで私をみつけようとしてくれて。嬉しいわぁ。』
【あっ……うぅっ……京子さん。また、また会えたんですね!】
『いままでありがとうね。我慢して……ごめんなさいね会うのが遅くなって。』
【いいえ。いいえ。大丈夫ですよ……。】
やっと再会できた。感動の再会。嬉しくて私も泣いてしまった。莉子。莉子。もう大丈夫だよ。この世界でもう最後かもしれないけど、この時間を大切にしようね。

6/2/2024, 12:42:26 PM