『二人だけの秘密』
どこで間違えたのだろう。
彼女の助けに応えた時か。それとも、彼女の言葉に耳を傾けた時か。
「ありがとう。あなたのおかげで、彼から解放されたわ」
にっこりと私に笑いかける彼女は、まるで女神のようだった。
いや、彼女は女神などではない。悪魔だ。
じっくりと私を支配し、ゆっくりと私を蝕んだ、悪魔なのだ。
「これは、私とあなた、二人だけの秘密よ?」
彼女が耳許でささやく。
その甘美な声に、クラクラと眩暈がする。
「大好きよ。世界で一番、愛しているわ」
彼女の顔が、ゆっくりと近づいてくる。
私は考えることを放棄して、そっと目を閉じた。
足元には、私の親友が埋まっているというのに――。
5/3/2024, 2:52:08 PM