木枯らしと聞くと必ず思い出す歌が有る。今でも秋になり、寒さを直肌で感じるようになると、小声で口ずさんでみる。小さな頃一人で寝るのが怖くて、毎晩隣で母に子守唄を歌ってもらっていた。「揺り篭」「月の砂漠」「赤トンボ」「夕焼け」「まんが日本昔話のテーマソング」「お母さんの歌」。その中の1つが「焚火」だった。知らない人も多いだろう。この歌は他の子守唄と比べるとあまりメジャーではないのはたしかだ。私は幼心にこの歌の歌詞から、秋の淋しい風景を頭に浮かべ、この歌が母の口から流れると悲しさと心地よさが混ざってよく眠れるから嫌いではなかった。よく考えると木枯らしをはじめ、霜焼けや、サザンカという言葉もこの歌で知ったものだ。子供もよく眠るし、言葉も覚える、良くできたものだと改めて感心した。やはり、怖さがトラウマになるようなのと同じように、寂しさ、心地よさもインパクトを植え付け、脳の中の記憶にしっかりとインプットされるということが分かる。そして今になって思うと母はあの頃は仕事でも大変で、帰ってきてから家事をして私の世話もしてくれていたのだ。私が心地良く眠りにつくまで隣でずっと寄り添って、背中をトントンと叩いて寝かせてくれていた。私はというと癇癪持ちのアホなガキだったので、当時はそんなことは全く考えず、いつも暴れて甘えまくっていた。仕様がない事だったのかもしれないが、今になって申し訳なく思ってくる。だけど私は母の手伝いやかたもみなどをして隣にいることしかできないのである。母の苦労にたいしての感謝の行動量では全くといって良いほどたりていない。私はこの文を書き終え、枕元にスマホをおき、イヤホンを耳に押し込んだ。「焚火」を久しぶりに聴きながら、寂しさと心地よさ、申し訳ない思いが私を取り巻いて、今日も深い眠りに落ちる。
「木枯らしの思い出」
後書き
やっぱり思い出すんですよ。小さい頃の記憶って。変なことばっかり覚えてたり(笑)。でもそんな記憶に救われたり救われなかったり。今の事もあと2、30年もたてば同じように思うんでしょうね。なんか淋しいなあ。(『やっぱり全体的にながいな、読みにくくてすみません汗。』)
お題 木枯らし
1/17/2024, 12:36:03 PM