日が沈み闇が街全体を覆う。
二人手を取り合い、街灯を頼りに足を進める。
別に行く当てなんかない。
ただ、君と別れるのは嫌だからひたすら歩く。
この時間、この場所で、この手の感触を
一生忘れたくない。
君はどう思っているのだろう。
歩くのさえ億劫に感じてきた頃だろう。
でも、嫌な顔一つせず君は笑顔しか見せない。
その笑顔が俺をだめにする。
別れたくないのは、その笑顔を見て生まれた感情。
……失敗。
わざと遠回りして
終電に間に合わないよう送ろうとしたのに。
二人繋いでいた手を離し、
駅のホームを背景にして君は段々と遠ざかっていく。
この手、洗わないようにしよう。
7/14/2024, 12:20:36 PM