「貝殻」
海から帰ってきた君は焼けて赤く肌を染めていた。嬉々として俺にこれが楽しかった、あれがどうだったと教えてくれる。
次は君とも行きたいねと笑顔で話してくれている。俺はそうだなと嬉しさを隠して素っ気なく答える。
嬉しそうに俺を見た後急に思い出したかのように立ち上がりどこかに行ってしまった。どこに行ったのかと心配しているとにこにことしながら帰ってきた。
どうしたんだと声をかける前に何かを渡された。それをよく見ると貝殻の入った小さな小瓶だった。
君のために頑張って作ったんだ、と。
少し恥ずかしそうに話してくれる君はいつもよりずっと愛おしかった。
9/6/2024, 5:00:10 AM