僕は、翼を持っている。広大な世界へ飛び立てるくらい、それはもう立派な翼。陽の光を受けるときらきら輝いて、ばさばさと大きな音をたてて羽ばたく翼。人はみなその翼に見惚れて、僕を求める。盲目な大人たちに従順であった僕は自分の翼に殺された。今は電気を消した病室にただ独り。毎夜横になったまま外を眺める。窓の向こう側はまた暗闇。「なにが翼だ」虚に響く。――飛べない翼
11/11/2022, 3:25:43 PM