こひる

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『現実逃避』

ある日、兄から手紙が届いた。不吉な予感しかない。

「拝啓

梅のつぼみが顔を出し、春の訪れを感じる季節となりました。
二郎様におかれましては、お健やかにお過ごしのことと存じます。

さて、私こと一郎は本日、四十五歳になりました。

世の中では、四捨五入され、「アラフィフ」という言葉でグッと五十歳に寄せられてしまいます。
あなたは、まだ若くこれからのご活躍が期待されますが、その後、御昇進などありましたでしょうか。
私は持病の影響により、体調に波があり、日によっては思うように動けないことがあります。コンビニのアルバイトは契約の更新がなく、先日退職となりました。

近年、私自身の体力は明らかに低下してきてますが、健康に対する意識は高まっています。
あなたは、昔から身体が丈夫でしたから、ご心配はないと思いますが、なるべく長くご健康でいてください、そうでなければ私が困ります。
誠に情けない限りですが、現在、十分な食事をとることができておりません。

これからどのように生きていくべきかを自問自答する毎日でありましたが、最近になって、私には小説家が向いているのではないかと思い至りました。
よく語り合ったあなたのことです、私の才能にもお気づきだったことでしょう。

つきましては、最後にもう一度だけご相談させてください。
執筆に必要なパソコン購入費用についてご支援をお願いできないでしょうか。

あなたの健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。

敬具

令和八年二月二十七日
                     一郎
二郎様                    

追伸、
パソコンは何ギガバイトが適切ですか?
私たち兄弟間で、おもしろエピソードなど何か思い出されることはありませんか?
二人で集めたビックリマンシールはまだ保管していますか?私のものも混ざっていませんか?       」


ああ、今日は、にいちゃんの誕生日だな。

にいちゃん、現実を見なよ。

2/27/2026, 12:34:27 PM