【お題】灯火を囲んで
「いやはや、洞窟があって助かったな。濡れ鼠で一晩過ごすところだったし、そんなことをしたら風邪ひいちまう」
と、出会った男はそう言った。
「・・・・・?神でも、風邪を引くのか?」
と首を傾げつつ問う。『神だ』と言うこの男の話を全て信じた訳では無いし、自分自身、【神】と言う存在を信じた事は無い。
「あー、まあ、俺は特殊でね・・・・・『元は人間だから』って言う意味もあるかな」
と苦笑いしながら言った後
「とりま、最初は飯も食いたいから火を囲うか・・・・・」
と言って、洞窟内にある枯葉やら小枝を囲んだ後、マッチを取り出して火を付けた。
何とも妙に、人間臭い神である。
それから夕飯の間、この世界の事についてや、私自身の事を根掘り葉掘り聞いてきて・・・・・気付けば、寝る前に焚き火からランタンの灯火に変えた後も、そのまま話を続けた。
「・・・・・と言う事もあったな」
と、今やその男の右腕として動く事になっているとは、これもまた奇妙な話である。
「?何の話だ?」
「アンタと出会った頃の事を思い出してな」
「あぁ、随分と前の事を思い出すなぁ・・・・・って、そんな思い出す様な事あったか?」
「私にはあったさ」
と言いつつ、焚き火を作る。
そして今回もまた、《灯火を囲んで》話を始める。
今回は、何の話になるのだろうか?
By 神になったもう一人の青年の回想。焚き火の回
11/8/2025, 11:12:18 AM