視線の先にはだんだんと息が浅くなる。心臓の音が耳元でやけに大きく聞こえる気がして、ぎゅっと押さえつけた。音がしないように、息すらもころして、それが通りすぎるのを待っていた。扉の向こう側から音がしなくなって、少し経ったところで、ゆっくりと立ち上がる。震える指先で、そっと扉を少しだけ開けた。あ、と気づいたときには、もう遅かった。視線の先には、異形のあやかしがギョロリとした目でこちらを見ていた。
7/19/2023, 1:39:43 PM