ミキミヤ

Open App

私とあいつは幼馴染だ。生まれてからずっとあいつと私は競い合ってきた。学校の成績も、薪割りの上手さも、剣の上手さも、ずっと切磋琢磨して高め合ってきた。
そんな私達ふたりともに、勇者の適性があることがわかった。勇者とは、選ばれたパーティを率いて、魔物たちを操り人間の領域を支配しようと企む魔王を倒す人。特別な適性がないとできないと言われている。私達2人には、その特別な適性があったらしい。
数々の競争や勝負を繰り広げてきた私達の次の競技は、魔王打倒タイムアタックに決まった。どちらのパーティがはやく魔王を打倒できるかの勝負。
私達は「絶対負けねえ!!!」と言い合って、冒険の旅へと出た。

神聖で崇高な目的のある勇者の旅に勝ち負けなんて、と言う人達はたくさんいた。でも、そんなことは私達には関係ない。これは“いつも”の延長で、魔王を倒すことは相手に勝つための手段でしかないのだ。

旅の道中で集めた仲間と、今日も魔王のいる北へ向かって進む。仲間たちは、私達勇者の勝負に呆れつつも付き合ってくれているいい奴らだ。

旅はいよいよ、魔物の出没が増える危険地帯へと突入した。
魔物をバッサバッサと斬り捨てながら、あいつは今頃どこで何をやってるだろうと考えていた。もう私より先に進んでいるだろうか。同じように魔物を斬り捨てながら前に進んでいるんだろうか。
ああ、あいつに勝ちたい!そう思うと、力が湧いてくる。
あいつに勝って、絶対先に世界を平和にしてやる!
決意とともに、私はまた剣を振るった。

6/1/2025, 5:20:59 AM