徒花

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「時計の針」

私のところには時計の針が12時を指しても王子なんて来ない。

魔法にかかり一時の夢でさえ見ることは出来ない

その代わり、と言っては何だが夢から覚めることもない。

私の視界には一生、現実しか映らないのだろうか

時計の針は残酷に時を刻み続けるのに、私の心は止まっている

あの日からずっと。

物語の彼女と違って私には家族も居るし、一日中こき使われてるわけでも、暴言を浴びせられている訳でもない。

なのに物語の彼女は真っ直ぐで、どんな状況でも諦めず懸命に、必死に運命に抗っているというのに私はどうだろうか。

ずっとあの日を引きずって、希望も未来も見えず
ただ存在しているだけの木偶の坊

だから幾ら時間が過ぎても王子様が来ないのだろうか。

頑張り屋で諦めず、清い心を持った彼女だから
夢を見ることが出来たのだろうか。

どうしたら、私の心は動き出すのだろうか。

何時を指しているか分からない針もいつかちゃんと動き出してくれるだろうか。

現実の時計は相変わらず時を刻み続けるけど
なんの変化も訪れない

心が動き出せば此処にある時計の針も動いてくれるだろうか。

いつか12時になる前に動き出してくれるだろうか。

そしたら私の運命も動き出してくれるだろうか。

物語の彼女のようにいつか運命の人と微笑みあえる未来が訪れるだろうか_______

2/7/2023, 10:54:31 AM