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#たそがれ

「……たっくん。」
「……ん、はる。どうした?」
どうもなにも、何も無い。
窓際のラタンチェアに腰掛けた、夕日に照らされたたっくんの横顔が綺麗だと思った。
気がついたら、声をかけていた。
「なにもないよ。かっこいいなって。」
「なんだよ、急に。」
「私はいつもいきなりでしょ? 思ったときに言わないとちゃんと伝わらないかなって。」
「そうか……」
目を伏せて、小さくははっと笑うたっくん。
ふふ、照れた?
「夕日。綺麗だよ?」
「おぅ。……隣。来てよ。」
「はーい。」
黄昏時、大好きな人と空を眺める。
そっとたっくんの手を取って、指を絡めた。
これはどこにでもある、けれども唯一無二の、竜也と遥香の物語。

10/1/2024, 11:45:31 AM