桜の季節、私が思い出すのは、風にさらわれる花びらと、花びらの嵐の向こうから現れる私を迎えに来た彼の姿。状況を理解出来ていなかった私を抱き上げて(多分、あの時の彼からしたらただ持ち上げただけだと思う)、呆れたような困ったような顔をしていた。そしてため息をついて「仕方ねーな」といった彼は、そっと空に飛び立ち、彼の住処へ連れていかれた。私と彼はそんな春の日に出会った。
4/17/2024, 2:25:09 PM