ファンタジー。竜と王。300字小説。
守護竜の加護
私は守護竜、ホワイトドラゴン。一般的なドラゴンと違い、白い毛並のもふもふの身体とふわふわの羽根を持つ。
王家を守護する私は、王宮の奥に設えた神殿の祭壇に鎮座している。歴代の王は私の加護を得て、堅実な治世をおこなっている。
「竜の加護を得てくる」
今宵も国政の執務を終えた王が神殿にやってくる。人払いをし、竜との秘話を誰も邪魔せぬよう、祭壇の間の厚い扉を閉め、私に向かい大きく手を広げる。
「我に加護を」
「……もふもふのふわふわ……」
王が蕩けるような声を上げて、私の背に顔を埋め、羽根を撫でる。
「……一日の疲れがとれる……」
常に民の為に理想の王を演じているあなた。
せめて私の身に触れるときは全てを忘れ癒されて。
お題「理想のあなた」
5/20/2023, 1:27:11 PM