薄暗い部屋で静かに火が灯るランタン。
壁には、若い時の私の影が映っている。
あの頃はヤンチャで色々好き勝手にやっていたな。
懐かしい記憶が、次々と蘇っていく。
しばらくすると、影は形を変え、太っていた中年時代の影になる。
好きな物を食べ、酒をよく飲み、女遊びをよくしていたな。
女の影が現れ、ビンタされて、痛がる私の影。
……遊び過ぎて、当時付き合っていた彼女にフラレたことを思い出す。
それから新しい彼女は出来ず、ずっと独身のままだ。
影はまた形を変え、現在の顎髭の伸ばした老人の私になる。
懐かしい記憶を見せてくれるというランタン。
色んな記憶を見せてくれたおかげで、沢山思い出したよ。
もう、心残りは……ない。
忘れないうちに、行くとしよう。
私は目を瞑り、あの世へと出発した
11/18/2025, 10:18:25 PM