いつだっただろう。最後に君の名前を呼んだのは。
もう、力が入らない。君の元へは戻れない。
昔は照れ臭さから、君の名前を口にできなくて。
いつしか一緒にいることが当たり前になり、呼ばなくて良くなってしまった。
意識が遠ざかっていく。
もっと名前を呼んでおけばよかった。
君の顔や仕草、声、匂い、温もりは、いくらでも蘇ってくるのに──君の名前だけが思い出せない。
君の名前はいつしか私の中で、“君”になってしまっていた。
さようなら、世界。
さようなら、愛しい君よ。
もし生まれ変わった先で再び会えるなら、そのときは君の名前を、舌が擦り切れるまで呼び続けたい。
(君の名前を呼んだ日)
5/26/2025, 11:27:52 AM