きらめき
僕は、昔から周りのみんなが興味をもつモノに、魅力を感じる事ができなかった。
でも、心配性のお母さんを安心させるために「普通の息子」でいた。
そんな僕の無色な日々に色をつける出来事があったのは、中学二年生の夏休みだ。
その日、僕は家族みんなでおばあちゃんの家に泊まりに行っていた。
僕の住んでいる所に比べ、田舎だったが少し車を走らせればスーパーやコンビニ、ショッピングモールもあった。
父が親戚や友人の家を回っている中、時間を持て余した僕とお母さんはショッピングモールへ行った。
縫い物や野菜、畳などのお店ばかりで正直あまり楽しくはなかった。
お母さんもそろそろ飽きていた様で、近くにいい場所がないかスマホで検索をかけていた。
そんな時、僕の目に色が映った。
古いアンティークな雰囲気のお店。
手作りのドレスを作っている様で、ショーウィンドウにはふりふりの大きなリボンが特徴的なドレスが一つ。
それが僕には宝石の様に輝いて見えた。
車のゲームよりも、怪獣モノのアニメのグッズよりも、ずっとずっとコレが欲しい。
そう思ったのだ。
やっと見つけた僕の「きらめき」
家族には誇って言えるモノではないかもしれないけれど、確かにこの日から僕の人生には色がついたのだ。
9/4/2024, 1:05:54 PM