スリル
貴方と私は、
夜の帳が降りる時だけの、
密かに結ばれる、仮初めの恋人。
この恋が、
破滅に向かう階段と知りながら、
それでもいいと、胸が囁く。
抗い難い、愚かな甘さ。
貴方には恋人がいると、
知っているのに。
それでも、貴方を求めずにはいられない。
私の心は、静かな毒に染まってゆく。
夜が明ける頃、
貴方は私の腕を抜け出し、
まるで何事もなかったかのように、
美しく儚く微笑む。
「また、会いに来てください。」
甘く囁かれる、その言葉に、
私は幾度も裏切られ、
そして…同じだけ救われてる。
正しさも未来も、関係ない。
私達に許されているのは、
この危うい絆だけ。
だけど。だから。
ただ、この夜を、
ただ、この瞬間を、
命が尽きるほどに、感じたいんだ。
朝の静けさに身を沈め、
名残を抱いて、
私は独り、貴方の部屋を後にする。
このスリルが、私を生かし、
やがて…私を殺すだろう。
それでも、私は、
貴方を求めずにはいられないんだ。
11/12/2024, 7:01:27 PM