#011 『流星のタネ』
宇宙葬っていうのが流行っているらしい。お値段なんと二十万から……っていうのは、果たしてお値打ちなのかどうか。
カプセルにお骨を入れて地球を周回したりするのかな、それってデブリじゃん、なんて思ってたら、成層圏に突っ込んで燃えちゃう流れ星葬なんてのもあるんだとか。
それいいかもって一瞬思ったけど、打ち上げるのはお骨の一部だけで他は普通に供養がいるって聞いて興醒めしちゃった。だって、あたしは流れ星になりたかった。
それは希死念慮よりもっと緩い、憧憬みたいな。
そしたら皆、その一瞬はあたしのことだけ見てくれるかな、なんて、さ。
想像できた? そんなことを考えてた半世紀前のあたし。
高齢者ほど当選確率が上がるって噂の星間移民船への応募を孫に泣いて止められて、たった今、辞退のボタンを押したとこだよ。
《了》
お題/流れ星に願いを
2023.04.25 こどー
4/25/2023, 1:09:28 PM