題 特別な存在
私はいつも守られてる気がする。
「かなちゃん」
「うん?」
私は幼稚園からの幼馴染の湊くんを見た。
「今日は英語の宿題やった?小テスト出るよ。後は、書道道具が必要だけど持った?」
「・・・うん、テスト対策やったし、書道道具持ったよ」
「そっか、安心」
ホッとしたようにニコッと笑いかける湊くんに私は言う。
「あのさ、私もう中学2年なんだけど。それに、湊くん違うクラスなのになんで私のクラスの宿題知ってるの?」
毎日私の世話をやいてくれる湊くん。忘れてた時とか、頼りになるけど、まるで母親のように細かく心配される。
よっぽど私が頼りないのかな?って思ってしまう。
「だって、中学になっても、忘れ物したら困るでしょ?かなちゃんはそんなこと気にしないで。ちゃんと僕がチェックするから」
私の疑問には全く答えずに港くんはニコニコと楽しそうだ。
うーん、そんなに私のこと心配してくれなくてもいいのにな。
伝えようとしても、上手く伝えられないな。
はぁーとため息をつくと、私は湊くんと並んで歩き出す。
「高橋〜」
学校に到着した時、同じ委員会の山中くんがやってくる。
「あ、今日朝美化点検だっけ?」
朝校舎にゴミが落ちてないか確認する当番がある。
「そうそう、行こう」
山中くんは、私を急かして、腕をつかもうとする。
そこへ高速で湊くんが私と高橋くんの間に割り込んでくる。
「見てわかんない?かなちゃん、まだ登校してきてカバンも置いてないんだけど。ちょっとくらい待てないの?」
湊くんの顔が怖い・・・。
私に話しかけてきた人はみんな湊くんを怖がるけど、その理由わかるよ。
私も今の湊くん、別人みたいに怖いと思ってしまうし。
「あ、悪い、じゃあ、先に一階から確認するから、荷物置いたら3階から確認してくれる?」
「あ、ごめんね・・・」
私が謝ると、山中くんは、大丈夫!と言うと、湊くんを見て怯えたように去っていった。
「かなちゃんが謝ることないのに・・・」
横の湊くんは不満そうに言う。
「ねえ、湊くん、なんで他の人にあんなに冷たいの?私には優しくしてくれるじゃない」
私はさっきみたいな湊くんをあまり見たくなくて話す。
「え?それは、当然でしょ?かなちゃんが特別だからだよ」
「特別?幼馴染だから?」
私がそう言うと、湊くんははぁーとため息をつく。
「・・・僕たちって他にも幼馴染いるでしょ?でも、僕はかなちゃんだけに特別なんだけど?」
?
そう言われても、分からない、あ・・・
「私のこと、頼りないって思ってるから?」
「え?なんて?」
私の言葉に湊くんは心底驚いた顔をする。
「私が頼りないから何とかしたいと思って世話焼いてくれてるの?」
「・・・ねぇ、かなちゃんって鈍感だよね」
湊くんの言葉にどうも違うらしいと予測はついた。
「いいんだ、かなちゃんが分かるまで僕は続けるつもりだから。早く気づいてね」
と湊くんは、私の顔を見て言う。
今の私には全く予測がつかない。
ただわかるのは湊くんが私を守ってくれてて、世話をやいてくれることだけ。
この特別扱いの意味はいつかわかる日がくるんだろうか?
3/23/2024, 11:24:12 AM