夏の雨

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「わっ…」
曲がり角を曲がった瞬間、誰かとぶつかった。
はっとしてその子を見ると、小柄で可愛らし女子だった。
「ごめん、大丈夫?」
そう言うと何故か彼女は顔を赤くした。
「はい」
俺が手を差し伸べると、彼女は手を掴んだ。

あの日から俺は彼女の事が忘れられなくなった。
彼女の事を知りたいと色々探したが、結局名前も知らないので分かったのはクラスだけだった。

遠目から彼女がこちらをチラチラ見ているのが分かる。俺から話しかけたいのに何故か声が出ない。
なんでだろう?と思っているまま彼女は何処かに行ってしまった。

「〜〜〜だよな!」
「そうだなwww」
また見られている気がする。今度こそ話しかけないと…と思うがやっぱり出来ない。でもせめて名前を…じゃないと寝られない…!
「それで〜…」
「うんうん…あっ」
話していたがバッチリ目が合ってしまった。
手を振ると彼女も手を振り返す。また顔が火照っている気がするが…気の所為かな。

「ねぇねぇ〜今度遊びに行かない?」
クラスの女子からそう言われた。だが2人で…なんて行けない。
「他の人も誘っていいかな?」
「えぇ〜なんで?2人で行こうよ!」
「いやそれは…」
それは無理だ。だって…
廊下でぶつかった、ずっと、いやいつまでも忘れられない彼女の事が好きだから。
小声でその子に言う。
〈ごめん。俺好きな人が居るから。〉
「えっ…誰?」
「ふふっ。ないしょ。」
「っ?!……しょ、しょうがないわね…応援してる。」
「ありがと」
いつか彼女に告白したい。そう心に誓った。

#忘れられない、いつまでも
君と出逢ってから、私は…の男性視点です。

5/9/2023, 11:18:58 AM