『七夕』#4
今日は七夕みたいだ。忘れていたよ。昔は七夕が近くなると笹に飾る折り紙を持ってこなきゃだとか今年は晴れて星が見えるかなだとかみんなの願い事は何かなだとか僕はどんな願い事を書こうかなだとか。毎年そわそわしてわくわくしていたな。とてもきらきらした夢を毎年書いていたのをよく覚えているよ。綺麗な夢、見なくなったな。過去の幸せな夢を見てもそれは永遠に取り戻せない。最後にはどろどろに赤黒く溶けて目覚めてしまう。窒息するほど幸せな夢が窒息するほど苦しい悪夢になった。今年は大きな笹も綺麗な飾りもないけれどもし願う資格が僕にもあるのなら、あの幸せをもう一度。夢だって構わない。最後に赤黒く溶けて消えることのない幸せな夢を。きっと今度こそ離さないから。
7/8/2023, 12:15:28 AM