「オキュロフィリア、ってご存知ですか?
眼球そのものの造形や、視覚を通じた官能に異常なほど執着する性的嗜好。
まあ、簡単に言えば眼球愛好者ってところでしょうか。
お恥ずかしながら、私もそういう性癖を持っている人間でして、好きな目を見るとどうしても手に入れたくなる。
あなたの目を初めて見たとき、思わず足を止めてしまいました。
色、形、大きさ……全てが私の理想通りで
『ずっと見つめていたい。』そう思ったのです。
私は、自分の本能に従順すぎるらしいのです。どうしても、あなたの目を手に入れたい。
でもね、私は学びました。過去の経験から。
目っていうのは、人の体から離れると死んでしまうんです。
まあ、中には死んだ目が好きだという人もいるようですが、私はダメでした。
あんなに好きで好きでたまらなかった眼球たちも、ホルマリンに沈めた途端、ただのガラクタに見えてしまう。
何度も試しました。
けれど、すべて無駄でした。
試行錯誤の末、ようやく気づいたのです。
私が欲しかったのは、“生きている目”なんだと。
……だから、方法を変えました。
あなたは記念すべき、私のコレクションの第一号、ということですね。
大丈夫、健康管理はお任せください。あなたには、長生きしてもらわないといけないので。
ああ、部屋は少し狭いし、身動きはほとんど取れませんが、これもあなたの美しい瞳を守るためなんです。
おや、どうしました? そんなに震えて。
……ああ、やっぱりあなたの目は美しい。その感情に溢れた目、生き生きとしている!
大きく開いた瞳孔。震える視線。滲んだ涙。
……どれも、たまらない。
これだから、目は生きている方が好きなんです。
…おや、少し話しすぎましたね。もうこんなに遅い時間になってしまいました。
あなたも寝た方がいいですよ。寝不足は目に悪いですからね。
それでは明日、またあなたの瞳に会いに来ます。
おやすみなさい。」
4/6/2026, 4:21:52 PM